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学びの実り 文化祭で広がる、生涯学習のかたち

 2025年10月25日(土)、代々木のオリンピック記念青少年総合センターで『第4回訪問カレッジ「学びの実り 文化祭」』が開催されました。
 みんなの大学校・引地学長は、オンライン講座「音楽でつながろう」と、シンポジウム「誰もがアクセスできる生涯学習の取り組み~多様な立場から~」に講師・シンポジストとして登壇しました。

 訪問カレッジは、病気や重い障がいのために特別支援学校卒業後も通所が難しい方々のもとへ支援員が訪問し、生涯学習を保障する「居宅訪問型学習支援」です。公的な制度として整備されているわけではなく、生活介護事業所などの福祉事業とは異なる取り組みです。
 「学びたい」という願いに応えるため、医療的ケアが必要な方々を支える関係団体が連携して立ち上げたのが「重度障害者・生涯学習ネットワーク」。今回の文化祭「学びの実り」は、そのネットワークに参加する学生(カレッジ生)たちが日頃の学びを発表するスクーリングの場でもあります。

 音楽の講義にはピアノコーラスグループ「Psalm(サーム)」が出演。会場とオンラインをつないで、カレッジ生たちの自宅と音楽の時間を共有しました。
 講義の途中では、Hama(ハマ)さんが「バースデイソング」を披露。偶然にも、直前に登壇された神奈川県立歴史博物館の桑山さんが10月生まれということで、みんなで手拍子を添えてお祝いしました。
 続いてKengo(ケンゴ)さんがピアノソロで「ちいさい秋みつけた」「秋桜(コスモス)」、そして「紅葉(もみじ)」を演奏。秋のしっとりした空気が漂い、曲が変わるたびに表情が和らいでいく様子が印象的でした。

 引地が大切にしているのは、「同時間性」と「双方向性」のある学びです。録画配信でも知識を得ることはできますが、同じ時間を生き、互いに響きあうことこそが学びの本質だと考えています。
 講義の最後にはPsalmのオリジナルソング「笑顔予報」が披露されました。画面越しにグーやパーを出して応える受講生たちの姿に、まさに“同じ時間を共有する”ことの喜びがあふれていました。

 この記事を記しているのは、当日参加した大内です。私が特に印象に残ったのは、講義の終わりに行われた質疑応答の場面でした。
 進行役の片山さん(訪問カレッジEnjoyかながわ)が「言いたいことがある人は手を上げて」と呼びかけたのです。
 正直、少しドキリとしました。重度心身障がいのある方々にとって、手を上げるという動作は簡単ではないからです。
 ところが、オンラインでつながる皆さんはZoomの「拍手」リアクションボタンで応えてくれました。
 その瞬間、ICT機器が身体の延長となり、表現を広げる手段となっていることを改めて感じました。
 オンラインの学びは、リアルの代替ではなく、新しい「つながりの形」を生み出しているのだと、心から実感しました。

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